睡眠時無呼吸症候群の診断と治療

- 閉塞型睡眠時無呼吸症候群
 (鼻からのど、いわゆる上気道の閉塞が原因)
- 中枢型睡眠時無呼吸症候群
 (脳から呼吸するよう指令を送る呼吸中枢の一過性の活動停止が原因)
- 1,2の混合型に分類されます。
2の頻度は睡眠時無呼吸症候群全体で数%とされ、特徴的な症状が少ないとされます。
     当院では主に1の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の診断と治療を主に行っています。
診断
問診
- 睡眠中の頻回の無呼吸
- 強度のいびき
- 肥満
- 日中の眠気、頭痛の有無
- 高血圧、虚血性心疾患、不整脈、糖尿病の合併に関する問診
診察
上気道の状態のチェック(耳鼻咽喉科の診察)。
検査
これらの結果から、閉塞型睡眠時無呼吸症候群が疑われる方に携帯型の検査機器(簡易診断装置)を貸し出し、これを自宅で装着した状態で睡眠していただきます。この機器で口鼻の気流、いびき音、血液中の酸素濃度、無呼吸の時間当たりの回数を調べます。
      検査結果によっては、さらなる精密検査(入院での精査)が必要となることがありますが、その場合には入院検査が可能な医療施設を紹介させていただきます。
治療
軽症の場合
歯科でマウスピースを作成し装着します。これにより下あごを前方に固定、上気道を開大させます。
中等症以上
CPAP療法(鼻マスク式持続陽圧呼吸療法)が適応となります。
      これは鼻から空気を送り込むことによって狭くなっている上気道を広げることにより無呼吸を防止します。
      CPAP療法の効果として日中の眠気軽減や頭痛などの症状の減少があげられますが、治療を継続することによって閉塞性睡眠時無呼吸症候群の合併症とされる高血圧症、虚血性心疾患、脳血管障害などのリスクを低下させるとの報告も多数あります。
      しかし、この治療はあくまで対症療法ですので、根本的に上気道の閉塞を治して無呼吸を起こらなくする治療ではありません。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の方は肥満をともなっていることが多く、肥満は危険因子とされます。減量だけで無呼吸を消失させることは難しいとの報告もありますが、症状を改善しうる要素として減量は心掛けるべきであるとされます。
小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群はアデノイドや口蓋扁桃の肥大が原因となることが多く、手術が選択され症状が改善する場合が多いとされますが、成人の場合、根治目的で手術が選択される例はそれほど多いものではありません。近年、舌下神経刺激療法という新しい治療法が保険適応となりましたが、すべての閉塞性睡眠時無呼吸症候群の方が対象ではありません。また現在、兵庫県内でこの治療を行っている施設はありません。